447 インタビュー

新聞記者、雑誌記者、社内報編集長、豆本
編集長として、何千人という人を取材してきた。

独りでも前に突き進む力を持つ人にたまに出会う。取材をしていて、眩しい。インタビュー取材で最もうれしい瞬間だ。

たいていは事業創業者。
売り上げが大きい小さいではなく、その地域で永続してほしい業種。

山口県光市の光駅近くにあるにパン屋さん「シェ ラミジョ」。普段はささっと取材する私なのですが、店主さんと2時間ほど話しました。フランス愛にあふれていました。

「さらに何かを生みだしたい」と日々奮闘しながらも、
「自分はこんなものじゃない」と常に言い聞かせる。

言葉の節々にわが仕事への熱量がほとばしる。自分の今の生き方を信じ、技術を磨き上げ、創意工夫を凝らし、原材料に真摯に向かい合う。

取材終了時に、小学生の兄弟がパンを買いに来てくれた。おつかいのようだ。

「あの兄弟はいつも買いに来てくれるんですよ。フランスでよく見た光景。毎回、涙が出そうになる」

美味いパンに物語あり。

前回訪問時に帰りの車で食べたベーコンエピの美味さが忘れられない。水分を含むモチモチの生地に驚いた。

この日はなかった。
ほかのパンを買ったが、これがまた美味かった。なんと、秋田の特産漬物「いぶりがっこ」を細かく刻んで入れてあった。

「なんじゃ」この食感。驚いた。うまか。

また行きたくなる名店である。

文・平義彦 撮影・海田成隆