647 喫茶ポパイ(下)

私が決まって頼むのはインディアンオムライス。絵面があまりにもよいので、創刊号「徳山駅旅グルメ豆本」の裏表紙の真ん中に載せた。

写真下手な私だが、スマホで奇跡的にきれいに撮れた。

オムライスの手前にカレールーの湖がある。「ウオッ!」
ルーが満ち満ちてる。
中はチキンライスではなく、カレーピラフなのもよいよい。
個性あふれる一品。美味しくて、なぜかなんとも懐かしくて、私は大好きだった。
■インディアンオムライス
「喫茶ポパイ」は創業75周年だけに、逸話に事欠かない。
開店当初の昭和20年代前半はコーヒーが手に入らなかった。そこで、ハワイ島への移民で知られる周防大島の人を頼って、コーヒーを入手していたらしい。

店内にあるいくつものランプはお父様の収集だったという。それが今では、インスタ映えスポットになっていた。

先日、店主さんと電話で話せた。

「体力的にきつくなりました。お店を始めた父母にはやめてごめんねという気持ちもあった。幸運にもあとを継いでくれる人に出会えた。少し肩の荷がおりました」

涙ぐみながら、そう話された。

本当にお疲れ様でした。

自著豆本は手のひらサイズの小さな雑誌だが、これからも、町の小さなよいところにスポットを当て続けようと思う。

喫茶ポパイを豆本で取材できて本当に幸せでした。一生記憶に残る。

取材者冥利に尽きる。