グルメ豆本を出版しているので、世の美味いものを食べてみたいと思う。
取材を経て、食の好みは人それぞれであることをあらためて感じている。
だいぶ前、実父とカレーライスについて話したとき、「子どもの頃は鯨肉だった」と話していた。水産長崎のころ。オヤジ(私の祖父)も船乗り。
食卓の肉は鯨肉だったという。
「また食べたいか。美味いのか」と父に聞くと、「いや、もういい。今の方が絶対に美味い」と答えてくれたのをよく覚えている。
食には、こういった世代間格差が相当にある。
なので、味の評価は本当に難しい。
その人の生まれ育ちや食生活、その後の生きざまが露骨に投影される。
例えば、かまぼこだって、本場長崎で取材したときも、すでに、スケソウダラが味のベースだった。主原料。安価で調達しやすく(当時は)、味がマイルドになり、食べやすいと聞いた。
当然、地域性もある。
漁業が盛んな地域に仕事で住んだことがあるが、魚が嫌いという漁業者も結構いた。
スイーツなんか特にそうだろう。
私が子どもだった昭和40年代、50年代より、今の方がはるかに美味しいのだろう。
豆本でこれが美味いと自分の感覚を頼りにしているものの、本当にこれでよいのかとの思いは常につきまとう。
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